あたまに花をさかせる

楽しかったことを書く

R4.2.20 刀ミュ「江水散花雪」は泣いてしまう

令和4年2月20日 COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
musical-toukenranbu.jp

楽しくて面白い舞台だったから、結末に泣いてしまうよ。
ネタバレします!褒めます!

ストーリーのこと

わかりやすく、楽しかった。そして最後は悲しくて泣いた。
私は、幕末について大河の龍馬伝で得た知識しかほぼないので、大政奉還とかそっちには詳しくない。慶喜が15代だってことは知っている。
なので、歴史に全然詳しくない南泉と同じ目線で楽しめた。詳しい人は、きっとはらはらと気をもんで、山姥切とか和泉守はどうしてなにも手を打たないんだろうって思ってたのかなと想像するととても楽しい。いろんな立場と視点の刀剣男士がいたから、自分が一番気持ちをのせやすい男士がひとりはいるのが、助かるなって思った。
一番最初で、井伊直弼吉田松陰が出会って、親交を深めていることに対して、刀剣男士は誰も危機感を持っていなくて、なので観客である私も楽しいなーみんな仲良くしてていいなーってのんきにしていたんだけど、それが、最後に反転してしまうのが本当につらかった。

前半3分の2くらいずっと幸せで楽しかったです。
南泉と大包平が、井伊直弼と交流してたところとても魅力的だった。南泉も大包平も、育ちが良くていい子なんだけど、突っ張っているという若者らしさのある二人なので、それを年長者の余裕で包み込む井伊直弼がすごくよかった。おじいちゃんと孫みたいで、お菓子を与えている姿、幸福だった。
小竜が吉田松陰のお供になってるのもよかった。旅人属性を持っている小竜が、知的好奇心の擬人化みたいな吉田松陰と諸国をめぐるのは見ているだけでとても楽しかった。船に乗って黒船にちかづくところ、舞台の上で、すーっと船が動いてたからとっても不思議だった。吉田松陰、行動力が凄まじくて、かわいくおもってしまった。
水戸学の歌最高でしたね。明るくてポップで、ダンスも楽しかったし、お気に入りのナンバーです。真剣乱舞祭で聞きたいけど、キャストにいないから寂しい。

それで、後半から畳み掛けるような地獄ですよ。
今まで仲良くしてきた人たちが豹変して襲ってくるのすごく嫌だな!でも、もう人間じゃないから、倒すしかないのも悲しくて嫌だな!
井伊直弼吉田松陰が素直に言葉を交わすことで、井伊直弼の心情や立場が変化して、そうすると、話し合いとか譲歩とか協力で幕末の動乱を乗り切ることができて、人も死なないし、混乱の中で意思疎通ができなくなって命を奪い合うしかなくなるという事態にならないということによって、なんと時間軸から切り離されて幸せな世界は終わる。理不尽!!!でもそれが歴史を守るということ!!!

安政の大獄は、ゲームの方では特命調査になってませんけど!!!と内心逆ギレしてしまった。悲しくて。特命調査だったら気持ちの準備ができてるけど、今回は、突然放棄された世界になってしまったので、なんでこんなことに!って悲しくなりました。
めちゃめちゃ悲しかった。南泉が「どうして!?」って泣いてわめいてくれたから私の気持ちは助かったので、南泉本当にありがとう。

わたし、これからゲームで特命調査できるかなあ、悲しくなっちゃうなあ。

井伊直弼井伊直政のこと

千子村正井伊直政になりかわってたのが、後世まで影響しとる!と思った。
三百年の子守唄、みほとせ以後の刀ミュにめちゃめちゃ関わってくる。すごい。やっぱり徳川家康を生まれてから死ぬまで見守ったのはでかかったのか。
井伊直弼って教科書で習ったときには、粛清とかするから怖くて悪い人なんかなーと思ってけど、そこまでして守りたかったのは赤ちゃんが安心して眠れる状況っていうのが切ない。みんな、良かれと思ってやってるんだな、という、ことを、改めて思い知った。
パライソでもメインテーマ、子守唄だと思うので(おろろんってやつ)、争いのない、子供が死なない世の中にしようって頑張ると争いが起きる、かなしい。鶴丸が、戦いをはじめたことに不快感を示し続けてたけど、戦いになると戦うしかなくなるもんなー、始めたらもうどうしようもなくなるからそりゃ怒るよなーと思った。江水散花雪を見ながら、パライソを思ったり、みほとせを思ったり気持ちが忙しい。

キャラクターのこと

山姥切国広

刀ミュ本丸の古参の刀はみんなが何も言わなくてもついてきてくれるもんだから、報連相する習慣が失われているのではないか。
とくに、悲劇的だったり辛いところを全部自分で抱えるためにみんなだまりがち。良し悪しですよそれ!
山姥切国広はもともと口数の多い刀じゃないから、古参とか関係なく性質としてそうなのかもしれないけれども。
歌が、めちゃくちゃにうまい。
セリフを言うより先に歌いながら登場してきたので、観客が最初に聞いた山姥切の声は歌声ですよ。初めてじゃない?
でも、ミュージカルにおける歌は内心を示すモノローグの役割を果たすことも多いから、頭で色々考えているタイプの山姥切国広はすっごくミュージカルむきなんだなと、最初の歌で感じました。
心のなかで思っていることや感じていることを口に出さないタイプだから、歌う。理にかなってますね。
新人に悲劇を経験させて、強くしようとするスパルタな先輩。でも飄々とした態度から一変して死にいそいだからびっくりしました。
急に折れようとしないであげてほしい。新人たちのトラウマになるので。ただ、自分をすごく軽く見積もっていることはわかった。
うーん、自分が強くて実力があることをちゃんと認識しているけど、別に、損なわれてもいいと思っているという両極端なかんじがする見ていて心が乱されるキャラクターでした。
長義を部隊に組み込もうとしてたので、長義にへんな遠慮とかないタイプの山姥切国広なんだなと感じた。肥前より長義のほうが良かったと思うよ。ただ、長義は山姥切国広のことをわりと理解するので、折れようとなんかしたら確実に阻まれたと思います。
「対等なうえで、俺のほうが上だ」ってセリフがめっちゃ好き。

大包平

健やか!!!大包平は健やか!刀剣の横綱!美の結晶!間違いないです。
大包平が山姥切の所業に対して、普通にとまどいとか怒りとかを表明するので、とても助かる。
隊員を全員無事に連れて帰るのが隊長の仕事だと言っておきながら、自分を勘定にいれてない隊員をちゃんと救いに戻ったところ最高でした。大包平かっこいい。
撤退の判断をちゃんとできるところもすごいし、隊員は協力したほうがいいと考えているのもとてもいい。責任と決断を引き受けようという覚悟がある。
大包平はたぶんまだきたばかりなんだろうなと思うので、じゃんじゃん強くなってほしいです。

南泉一文字

さては一文字一家がまだいないな、と感じる、自由奔放な南泉でした。悪い子ぶるのを戸惑わない。
胸元と腹だけ見えてる状態がキープされ続けているので、衣装、どうなっているんだ?と感嘆しました。二次元を三次元にするのがすごい。
歌のなかでもにゃあにゃあ言ってて、動きも猫っぽかったので、にゃんせんってかんじで可愛かった。猫の呪い増強版。
舞台のうえででんぐり返るの痛くないのか、すごいな、と思ってみていた。
井伊直弼との交流のなかで、素直に、話を聞いて仲良くして、励ましていたけど、最後に、言葉が届かないってわかったときにはちゃんと切ったのがすごく刀剣男士だなと思いました。ちゃんと自分で切った。
「良い歴史だったのに、どうして」って言ってくれるのすごく心が救われた。

肥前忠宏

事態がたいへんなことになってから、なんとかしろと言われ、がんばってなんとかしたので偉い。
山姥切国広は、事前に言っておいてあげておいてほしいですね。調査員でも、肥前じゃなくて、南海太郎朝尊だったら詰んでた可能性があるよ(南海先生は、特命調査で自分で帰ってこれなかったので迎えにきてねって入電してきた)。
肥前が歴史の流れをもとに戻そうと、人斬りをしていたの切ない。和泉守はそんなことしてもどうにもならないって知ってたけど、あえてやらせたんだろうなと思うとさらに切ない。刀ミュ本丸は刀剣男士をどうしようっていうんだ。
声がハスキーで荒んだ感じがよく出てて、ぐっときた。
岡田以蔵と対峙して、学がなく人を切るしかできなかった元主が、理知的に諭してきたことに、混乱しているの、すごく切なくてよかった。
肥前が知ってる岡田以蔵はそんな人ではないけど、人を切らなくてもいい歴史を歩んでいることをよくないと否定することもできず、どうしようもなくなってるのが辛かった。
最後に、人でなくなった以蔵を切って、それで泣いたの、辛くて悲しかった。声を上げて泣けたのはよかった。

小竜景光

黒子すごかった。真っ黒な小竜だった。小竜のマントが、小竜の刀でちょっと後ろに持ち上がっている造形が、完全に二次元的にかっこよく、衣装ほんと技術の結晶やなとしみじみした。セリフと動きがあっていて、舞台上にいる役者が喋っているように感じた。すごい技術だ。
吉田松陰にずっとついていて井伊直弼とぜんぜん一緒にいなかったの、いまだになぜかわからない。でも、違う視点からこの時代を見てみたかったっていうのは本当なんだろうなと思うし、小竜の「旅人」という感じが出ててすごく良かった。
最後に、ちゃんと桜田門外の変井伊直弼が暗殺される歴史を見届けたあとの「たくさんいた主のうちの一人だよ」ってセリフが本当によかった。
言い方、呼吸、タイミング、照明、背景にいる首のない井伊直弼の姿、全部相まって最高にいいシーンだった。マイベスト江水散花雪のうちのひとつ。
桜田門外の変って、悲劇なんだけど、雪の中に血飛沫という、舞台で映える事件なんだなとしみじみ感じた。
黒子よかったけど、二部で黒子じゃない小竜見たときに、ばあって涙があふれたから、自分で驚いた。それくらいきれいな小竜でした。黒子じゃないのも見たかった!

和泉守兼定

山姥切の考えを尊重しているので、新人に悲劇を見せることに加担している立場なのに、あんまりにもかっこいいので、ちょっと立ち位置がよくわからなくなる。
かっこよくて頼りがいのあるちょっとガラの悪いお兄さん(ビジュアルがものすごく良い)って存在が、ずるい。なにしてても肯定したくなってしまうので心を強く持って冷静に評価したいんだけど難しい。
新人がこれから地獄を見るってわかっているけど、ちゃんとサポートしてくれるし、歴史も解説してくれる。
あの歴史解説とってもわかりやすくてよかったですね。薙刀がくす玉わったところ邪悪で最高によかった。
吉田松陰井伊直弼徳川慶喜も自分の歴史を全力で生きたのに、最初にボタンがかけちがっているから、全部、徒労になったのが、本当にまじで悲しい。
歴史修正主義者が悪いとも言えるし、切り捨ててる時の政府(我々)のせいでもある。うー、なんど考えても切ない。辛くても歴史のとおりに進ませてあげなくては。パライソみたいに!パライソみたいに!
「俺のあの人を奪うな」って歌が最高に良かった。和泉守は土方さんの結末をそう捉えたんだなというのがすごくよくわかった。歌がうまい。感情が歌声にのってこちらにぽーんと届いてきて、結構長い曲だったと思うんですけど、もっと聞いていたかった。
登場シーン、最高でしたね。和泉守はでてくるだけで場を掌握できる華の持ち主ですね。そもそもキャラクター設定としてそうなんですけど、それがちゃんと舞台上で表現されているのが最高にすごい。いいものを見せていただいている。

その他の演出について

桜田門外の変が起きて井伊直弼の死体がある前で、刀剣男子たちが、お蕎麦食べに行こーってきゃっきゃしている光景がそら恐ろしくて最高でした。きちんと悲しむんだけど、終わったことは終わったことなんだな、と感じた。

二部の歌について
集合して歌う曲、ハンドマイクでかっこよかったですね!山姥切国広がフードをかぶらなきゃいけないから、ストリートファッション風にしているのとてもよかった。今回は、精神が若くて青い刀が多かったから、反骨的な曲調も似合っててよかったですね。
あと、山姥切国広のダンスがあんまりにも力強くて目をうたがった。あのひと口数が少ないだけで、情熱的な方なんだな、と感じました。
和泉守のソロ曲、たいへんな色っぽさで大変でした。こんないい男がすがってきてくれるのずるいっておもった。乙女心をもてあそばれてしまう。

眠らくなってきたのでとりあえずはここまで。東京公演、開催できるといいねという気持ちでいっぱいです。

おしまい!