あたまに花をさかせる

楽しかったことを書く

さらなる展開を見てみたい!劇団ドラマティカ ACT2/Phantom and Invisible Resonance

あらすじから内容の予想が全然つかなかったので、先に見た友人に内容を聞いてから見に行きました。
「連続テレビドラマの刑事もの(相棒とか)の一話分って感じ」
理解した!警察組織とは別に結成された特別なバディがいるあれね!というわけで、チケットを入手し見に行きました。
ゲームのキャラクターが舞台上で別のキャラクターを演じる入れ子構造の楽しさはACT1西遊記から引き続き健在。ACT2ではキャラクター同士の関係性やその変化を楽しむというところに主眼が置かれているのかなと感じました。

令和4年7月9日昼公演 東大阪市文化創造館 Dream House 大ホール

会場について

東大阪市文化創造館って初めて聞くホールだから、どんなとこなんだろーってワクワクしながら行きましたけど、こじんまりとしていてかわいいホールでよかったです。横幅も舞台の奥行きも小さめで1階後列一番端っこでもストレスなく見れました。
駅から真っ直ぐ歩けばつくのでアクセスもわかりやすかった。物販列を作るのに適した階段もあったし良きでは。
ホールの前に小さな広場かあって芝生とベンチがあるのもよかった。観劇のあとの余韻をベンチでかみしめてから帰れました。お天気もよかったし、木陰のベンチはいいですね。

あらすじについて

聞いていた通り刑事ドラマのバディものって感じで面白かったです。
世界観としてはたぶん近未来の日本なのかなー。政治などが腐敗した結果、現代より治安が悪くなって銃がはびこりマフィアもいる感じ。アニメとかでよく見るよね。ちょっとだけ未来で、ちょっとだけすさんだ日本。
嵐ちゃんが演じているルシカくんは、警察からの依頼をうけて非合法な手段で捜査を手伝うフリーのアウトロー。レオくんが演じている雫さんは殺人犯として収監されてる死刑囚。
今回、裏社会を牛耳っている大悪党の宗さま(デニスさん)を逮捕するという任務のために、雫さんが牢からだされて「ルシカくんと協力しろ、成功すれば釈放」という条件でペアを組むという流れだった。
これ、公式HPのあらすじにかいてあるんだけど、近未来日本が舞台の刑事系バディドラマという前提が頭に入っていないと、文字だけでは私には理解できなかった!たしかにちゃんと書いてあるんだけども!
せっかく面白かったのでもうちょっとジャンルがわかるかんじだと助かったなーと思いました。

物語の楽しさについて(ちょっとネタバレ)

絡み合う関係性とその反転

謎のテロリスト「ファントム」というのがいる。
そのファントムを追いかけているルシカ(嵐ちゃん)がいる。
そのルシカを捜査に利用している刑事、京極(渉さん)がいる。
その京極さんを慕っている部下の歩(北斗くん)がいる。
京極と歩は刑事、ルシカは捜査に協力するエージェント、この3人はこれまでにもいくつも事件を解決している。
3人が密談に使っているバーの店員がギィ(凪砂さん)。ギィは情報屋も兼ねていて、京極と親しげ。
この4人にまず関係性があって、そこに、新しく雫(レオくん)が入ってくる。
雫は、デニス(宗さま)を捕まえるために3人の関係性に加わる。
そのデニスは「ファントム」とつながりがあると噂されていて、さらに実はギィの店の常連さんです。

おわかりいただけただろうか。

まず、こうです。ギィ↔京極←歩↔ルシカ→(ファントム)↔デニス↔ギィ
ギィ(凪砂さん)を要にして、追うものと追われるものがつながっている。
それを追う側である京極(渉さん)たちは知らず、追われる側のデニス(宗さま)は知っている。
ギィは関係性を全部知っているし、誰が何を知っていて何を知らないのか知っていますが黙っています。後述するけどそういうキャラなので。
で、そこに、デニスを追っていてルシカとペアになる雫くんが入ってくることで、ルシカ↔雫→デニスの関係性が加わって繋がりの矢印が複雑化するわけですよ。

わたしはこれ、ギィを軸にした天秤みたいだなーと感じていました。正義側のお皿に、京極・歩・ルシカがのっていて、悪側のお皿にデニスとファントムがのっかって触れ合わずにバランスを保っていたところに、悪側のお皿に手がとどく雫さんが正義側のお皿にのっかったことで天秤がぐらぐら揺れて、そのゆらぎの中でキャラ同士の関係性が強まったり別のものに変わったりしていく。

それを見ているのが楽しい、という物語だった。

キーパーソンである雫さん(レオくん)がまあ、ツンツンとげとげしているので、ルシカくん(嵐ちゃん)と衝突しまくり、好悪の感情や信頼度が目まぐるしくかわっていくから、嵐ちゃんとレオくんの喜怒哀楽ぜんぶの芝居が余すとこなくみれるぞ!
主演の二人の関係性が一番派手に変化するけど、他のキャラクター同士の関係も変化していったり隠されていた関係が明らかになったりするからジェットコースターみたいに私の情緒はぶん回されました。

基本的なキャラクターの性格と設定だけでもだいぶ濃密なのに、実は、このキャラはこうだったのですー!!みたいな最初の認識を反転させられる事象が舞台の後半では起きてくるので、「待って待って、いま、全員のキャラ設定飲み込んだとこだった」って慌てているうちにどんどん次の設定がでてきます。ボリューム満点。
実は、って明かされる設定自体はオーソドックスなものなので(街一番の不良が実は猫にはでれでれみたいな)飲み込むのは苦じゃないけど、勢いがすごい。キャラ設定のわんこそばやー!

関係性の味わい深さを伝えたいあまりに長文になってしまった。

コメディパートの楽しさ

あんステのコメディが肌に合う。怒涛のボケとツッコミが繰り返されるパートがあらゆるシーンに挟まっているので楽しい。
関係性の物語であるので、キャラクター同士がめちゃくちゃ会話する。やり取りの中で主題と軸がずれてきてなんか面白い感じになるタイプのボケでうれしい。キャラが変なことをするタイプのボケよりも、真面目な顔して会話してるのにすれ違っているボケが好きですね。
コメディを担当しているのは、北斗くんと凪砂さんです。
北斗くんの真面目にトンチキなことを押し通していくボケと、あらゆるボケにツッコミを入れる間の良さが最高に大好きです。
凪砂さんは、演じてるキャラクターが意図的にとぼけたことをする人物なので、わざと不思議なことを言って突っ込んでもらうのを待っているやりとりがかわいかった。

演出が好きってこと

アンサンブルの人が大きな旗みたいなのを横に持っていて、布の部分でキャラを隠しており、その布にキャラクターの映像が映されたあと、布をぱってキャラの前からどけて、隠れていた演者がでてくるという演出が最高にかっこよかったです。
何も伝わらん!!!なんらかの手段で見てください!!かっこいいので!

最遊記とは違って魔法はないから、炎とかの演出はなくて残念だなーと思ったけど、キャラクター紹介が壁に映し出されるのも、かっこよかった。
宗さま演じるデニスに、影武者がたくさんいるって説明するところで、デニスの映像がたくさん写ったりとか。
照明の色もピンクとかグリーンが映えてて、未来感があって好きでした。
凪砂さんのbarのセットも好きだよ。ソファがあり演者がそこに座ることで、キャラクター性が発揮されるのよかったです。嵐ちゃんは普段は膝を揃えて上品に座るけど、ルシカくんはアウトローだから足を開いてワイルドに座るよね。どっちも好きです。
だれが座ってだれが立っているのかで関係性がわかるし、動きが縦方向にもあるから空間が楽しい。椅子がある舞台大好きー。

キャラクターについて(たいへんなネタバレあり)

朝比奈ルシカ役:鳴上 嵐

嵐ちゃんの女性的な美しさとたおやかさをもったキャラクター性が好きなんですよ。
でもそれはそれとして、嵐ちゃんの男性的なビジュアルの良さも好きなんですよ。手足も長いし、顔も精悍。
なので、ルシカが男性的で目的のためなら犯罪もやるアウトローであることで、嵐ちゃんの男性的な魅力が前の方におしだされてるのかっこいいな!って思ったし、動きの端々や喋り方に上品さがあることで、ルシカは悪人ではないんだろうなと伝わってくるのがよかったです。
普段の嵐ちゃんと、前面にでてる魅力と秘められている魅力が逆になっているのが面白かった。見せ方が違うけどどちらも嵐ちゃんの魅力なので、ルシカという役を通じて堪能できました。
ステゴロでの格闘シーンが多いのもよかった。衣装がスーツなのも相まって、スタイリッシュでした。
ルシカがファントムを追いかけているのは、家族の仇をうつためというのが後半でわかるので、やっぱり心底の悪人ではなかったと納得。
嵐ちゃんとルシカが反転の関係になっているので、ルシカというキャラ自体は、まっすぐわかりやすい魅力的なキャラだったと思いました。

雫 斗真 役:月永レオ

レオくんは普段「霊感(インスピレーション)が湧きあがるっ!」とか言う天才型で言動がやや突飛なキャラクター。でも、本質は純粋で善良、と私は理解している。レオくんに対して、解釈に自信がない。単純に優しくていい子って言い切りにくい。性質が善であることは確か(そのせいでめちゃ苦しい目にあっている)。
雫さんは、態度がとげとげしている。「…絶対服従で俺のために踊れ、アシカ」とかいう。俺の言うことに従え、俺が主人だ、仲良くする気はないってめちゃくちゃわかりやすく態度と言葉にだしてた。
普段わかりにくい言動で友好的ににこにこしてくれるレオくんが、こんな乱暴で攻撃的な態度を!?見たことない姿!!かっこいい!と思いました。
雫さんを見て最初に思ったのは、レオくんの「予測不可能な王様」ってキャッチフレーズとキャラクタービジュアルから想像してた月永レオっぽいなということでした。私は、月永レオを雫さんのような、不遜な天才だと想像してたんですよね。違いましたけれども。
対比的に語りましたが、雫さんの手負いの獣のような鋭さとかわいそうさというのは、ズ!の初期のレオくんにも共通する部分だから、レオくんが雫さんを演じることでかつて感じた憐憫の感情がリバイバルされて、胸がぎゅーってした。
雫さんも銃や体術を織り交ぜた格闘シーンがたっぷりみれてとってもよかったですね。服がぶかぶかなのもルシカとの対比になってて目に楽しかったです。色も、白と黒だしね。
ここのペアが、ものすごい勢いで喧嘩して対立して衝突して挫折して話し合って心を通じ合わせたのがこの話のメインだった。


2023年2月15日追記 観劇後にここまで書いてそれきりになっていたので簡単に続きを書いて公開します!

他のキャラクターの皆様

京極哲太 (日々樹 渉)は、ゲームの渉さんとは異なる悪いキャラクターでたいへんかっこよかった。騙し合いの渦中にいるキャラクターたちのなかではかなり素直な性格と思われる。スーツ姿が最高にいけてました。警察なところもいいよね。渉さんは三蔵に引き続き上司の役なので次は下っ端の役回りも見たみたい。

ギィ・フェルディナント(乱 凪砂)は、狂言回しだからあまりにも美味しい役どころでずっとかっこよかった。誰の味方でもないし誰もの味方なので立ち位置がくるくる変わって面白かった。自分で窮地においやった人を自分で助けているのが面白い。barの店長なのでこちらもハイパーイケてるスーツ姿でかっこよかった。ブロマイド買いました!ビジュアルがイケてるの本当に好き!

和蒜 デニス 健治(斎宮 宗)は悪のカリスマだったので大満足ですね!宗様はあんスタの推しだからかっこいい役だと嬉しい。

笠舞 歩(氷鷹北斗)は冴えない警官と思いきや、実はラスボスという役どころ。近未来アウトロー系警察バディものではよくある展開なので素直にのみこめました。実はラスボスっぽいキャラ造形だもんなと思っていた。しかし、キャラクター性の反転が今回のドラマティカでは見どころだと思うので、そこのかっこよさは間違いなかった。ゲームで普段見ている北斗くんと違う人格(冴えないが真面目でステゴロが強い警官)を演じている別の人格(大犯罪者のラスボス)なので反転の反転の反転で北斗くんのいろんな引き出しみれて楽しかったです。

そうじてすごく楽しめた!私が感想放置している間に、ドラマティカ3の発表があったようでなによりです!次はアリスなんですね!楽しみ楽しみ