あたまに花をさかせる

楽しかったことを書く

R2.1.18 ライビュ 舞台「刀剣乱舞」維伝 朧の志士たち

令和2年1月18日 映画館

面白かった!終わってしまった!寂しい!寂しい!すごく楽しかったのに、どんどん記憶が薄れていくの寂しいですね!

ネタバレします!褒めます!

・歴史人物について

 龍馬は、もう好きなるしかない。明るいし賢いし人懐っこいし頼りがいはあるし、そりゃあ以蔵さんも大好きだよ!わかるよ!あんな短い時間で客のハートをキャッチしてくるお芝居がすごい。結局のところ、あの龍馬は、龍馬の逸話が集まって、龍馬の気持ちで顕現したものだったのかなーと推察したので、いかにも坂本龍馬っぽい坂本龍馬、理想の坂本龍馬だったのかもしれない。偽物だけど、ぼくたちの考える最高の坂本龍馬だったなら、あの舞台にいたのはまさにそんな龍馬だったなあって思いました。

 以蔵さんはすごくかわいかった。本当に頭が悪いんだろうなってセリフまわしから伝わってきて、でも、誰よりも気持ちは熱いんだなってオーバーな手の動きとかぴょんぴょん跳ねる動作から伝わってきて、なんかもう情報量が多かった。雨のなかで、武市先生を見上げたときに顔を拭く仕草とかするから、雨めっちゃ振ってるんだなーとか、そういう、そういう芝居から伝わってくる情報量が多かった。人を切るときに、ずっと口が動いてなにか喋ってて、あれ「なんちゃあない」って言ってたのかなあとか、なんか喋って自分を鼓舞してないと人が切れないくらい精神がやばかったのかなあとか色々考えてました。かわいそうって心を寄せてしまう以蔵さんだったから、最終的に、肥前くんが一緒に戦ってくれて、お互いがお互いの支えになった展開がほんとによかった。私の気持ちが救われた。

 武市半平太のこともともと好きなんですけど、あの武市先生は龍馬の願いに引きずられて、朧の文久土佐の一部として存在しちゃった武市先生だと理解したので、あれは、龍馬が考える武市半平太であって、本物の武市先生とは性格とか違うのかもしれないと思いました。あんなに一生懸命だったのに、なんにも報われてなくてかわいそうって見てた。けど、最後に龍馬に「すまん」って謝られて、「おんしはいっつもそうじゃ、かなわんぜよ」と龍馬の勝手を許容しているとこが、すごい器が大きくて好き!って思いました。

 吉田東洋は圧巻としかいいようがない。声も印象的だし、存在感がやばい。あと、最初、暗殺されるとき、雨が降ってるからちゃんと刺客を確認できるように目の上に手をかざしてた。すごい。なんかこう、舞台の上の気温とか天気とかは、役者さんがそういう細かな芝居を積み上げていってくれるから、客であるこっちに伝わってくるんだなあと噛み締めてました。めちゃくちゃ今更かもしれない。しかし感じ入ったので記録しておきたい。すごい。
 あと、あの、殺陣がみんなすごいですね。以蔵さんが特にアクロバティックですごかったけど、あんな狭い足場でぴょんぴょん動くから、ハラハラし通しでした。

・舞台装置について

 めっちゃ動くからびっくりした!目まぐるしくセットが人の手で動かされて、それを足場にして上に下にと刀剣男士たちがアクロバティックに殺陣をするのめちゃめちゃかっこよかった!でも危ないからはらはらした!特に陸奥守吉行が、平気な顔でセットの上から飛び降りるので(以蔵さんもだけど)生で見たとき、かっこいいって気持ちと怪我しないでほしいって気持ちで胸がいっぱいになりました。すごいものを見せていただいてありがとうございます。

 以蔵さんの階段落ちすごかったですよねー。あれ、ライビュでは見えなかったんですけど、TDCでみたときに階段のまんなかに隙間ができてるのを鶴丸が蹴ってくっつけててかっこよかったです。神戸でみたときは鶴丸が蹴ってくっつけきれなかったとこを反対側から小烏丸が押して隙間がないようにしてたので、鳥太刀があそこは目配りする担当だったのかな、ベテランってかんじでかっこいいなって思いました。

・たくさんの目について

 「物語をおくれ」ってどういうことなの?頂戴なの送れなの?と混乱してたのですが、たぶん、頂戴なのかなー。刀ステでは、物語を経験すると強くなるというシステムが採用されているっぽいってことと、山姥切国広が鶴丸に強くなってほしいなあって思ってるっぽいことから考えると、「物語を経験して!強くなって!そして三日月をなんとかしよう!」ということだと私は推察しました。観劇した友人を順番に捕まえては見解をきいてたんですけど、「もっと物語を経験して!(頂戴説)」「もっと物語を(三日月または山姥切国広)に送って!(送れ説)」「もっと物語という日々を過ごして!(日々をおくる説)」とさまざまな意見があって楽しかったです。

 あと、わたしは、あの目のことを初見のとき、私たち観客の目かなって思ったんですよー。なぜかというと、逸話が刀剣男士に影響する以上、だれかそれを知っている人が必要だから、観察者としての我々という目かなーって考えたんです。ただ、それにしちゃあ、演出が禍々しすぎるので、あれが我々の目だったらやだな、っていう気持ちもあります。もっときらきらした目で見てるはず!たぶん!

・刀剣男士について雑多な感想

 鶴丸国永がさー、たくさんの言葉を短時間でぎゅっと圧縮してしゃべるのすごい特徴的だと思いました。早口なんだけど、一音一音が明確だからトントントン!って小気味好い響きになってて最高。染谷さんの演じる鶴丸はほんとにつかみどころがなくて怖い。しかし、そこがかっこいい。ふわふわって優しい高音域で喋ったり、中音域で考察したり、重く響く低音で咆哮したりするのが、シームレスに切り替わっていくのでつかみどころのなさが強調されるなあって思いました。「戦って、勝つまでが出陣だ」ってセリフがかっこよくて好き。すごく力強い言葉ですね。

 小烏丸さまの「笑えぬか?古刀ゆえ、許せ」ってセリフがめちゃめちゃに好きで、小烏丸の気品と自身と強さが詰まっているお言葉だと思います。許せ、の響きの可愛さが最高。小烏丸さまが複数の敵を串刺しにして、柄をとん、と叩いたらみんな倒れる殺陣が何度見てもめろめろするくらい好きです。もう一回みたい。はやくDVDをおくれ。
 あと、鶴丸と小烏丸が武市さんをぼこぼこにしている場面を見ているとき、毎回、絶対にこんな目に会いたくないって心の底から思ってました。あんな目にあわされながらも最後まで戦った武市先生は精神力がすごい。最終的に壁に蹴りつけるのが、おそろしくて最高でした。

 肥前くんの目がさー、あんなにきらきらしててかわいいなんてライビュを見るまでわからなかったんですよ。すごいきれいな目をしていますね。以蔵さんを救い、以蔵さんに救われたあのお二方のコンビ感が好きです。「人斬りの刀だよ」って何回も言うんですけど、そのたびにニュアンスが変わるので、印象深かったです。あと、南海先生のこと尊敬してるけど手を焼いているとこも好き。

 南海太郎朝尊先生は、お声がとにかくいい。声の響き方がすごい心地いい。それでいてはっきりセリフが聞こえるとこも好きです。罠作ってるときのダンスは最高にチャーミングでした。武市先生と戦って、自分の気持も観察対象にするところが、人間ではない感じでとても好き。心が未成熟ってかんじが、すごく強調されていた気がします。真剣必殺かっこよかったー。肥前くんもだけどー。

 堀川くんはこころが健やかで安心!ってまず感じました。兼さんの相棒で助手であるということさえはっきりしていれば、あとは特に問題ないです!ってかんじがむしろ心強かったです。歌仙さんの雅もそうなんですけど、基準が強固ではっきりしている子はみてて安心するので好きです。笑顔がきらきらしててとびきりにキュートなのが、大画面でいかんなく発揮されてるなーって思いました!

 兼さんの殺陣はライビュみたいに横から見るのもかっこいいんですけど、斜め上から見ると浅葱色の羽織が大きく広がってめちゃめちゃ粋できれいなんですよ。斜め上視点、円盤に入りませんかね、無理ですかね。無理ですよね。すみません。和泉守兼定の造形美がいかんなく発揮されている兼さんだなって舞台の上に立ってらっしゃるのを見て思いました、体のさばき方がめっちゃかっこいい。刀ステの兼さんはわりと言葉で説明してくれるので(活撃と比較しています)、誤解も招かないし、安心!て思いました。刀ステの土方組は安心!「刀の(侍の?)時代の終わりの、その最先端だったんだ。生まれに文句はないね」ってセリフが、その直前の陸奥守吉行のセリフと相まって、すごくかっこよかった。響きもすごく良かった。素敵でした。

 陸奥守吉行のおかげで、維伝は一本芯が通っていて、わかりやすく面白い話になったんじゃないかなあって感じました。龍馬との最後の戦いが顕著ですけど、思いをはっきり言葉に出すし、発言と行動が矛盾しない。陸奥守吉行に感情をのせて、あとはおまかせしていれば物語の最後まで連れて行ってくれる安心感。快適でした。ただ、あの、陸奥守吉行は頼りがいのある笑顔で「なんちゃあない」て苦しさを乗り越えていける強さがあるけど、なんちゃあなくないときに危ないなって思いました。限界超えてることに自分で気がつけないタイプでは?最後の「刀じゃ」っていう一連のセリフはゲームにもあるセリフだったと思うので、陸奥守吉行っていうキャラクターがそういう危うさをもっているんでしょうけど、それがこう、芝居を通じてこちらに伝わってくるのは役者さんとか舞台の力だなーって思いました!

・放棄された時間軸と円環の三日月について

 めっちゃ考えたけど、なにもわからない!三日月が「いずれわかる」って言ってたから、たぶんいずれわかる!
 円環とか、二振りいる刀剣男士のこととか、恐ろしいパンフレットのこととか、考えたり話し合ったりすると、①二振りの刀は同じ本丸に同時に存在しているが、どちらがその物語を担当するかは時間軸によって異なる説、②二振りの刀は別の時間軸に存在しており、一振り目の刀がどの物語まで生き残れるかが時間軸によって異なる説、③虚伝(初演)及び維伝が正史であり、他の物語は円環のなかにある別時間軸である説、などが次々登場し、そんな!刀剣男士たちはどうなっちゃうのー!?と悲しい気持ちになることがわかったので考えるのをやめました。考察っていうか妄想ですけど、とても楽しい遊びだから、やめるぞーって決意しないとずっと考えちゃいますね。

 維伝、とってもおもしろかった!書きたいだけかいたので満足しました!円盤の発売が楽しみだなー!おしまい!