初見でいろんな喜びの感情が湧き上がりすぎて夜も寝れなかった。
8月7日夜公演 DMM配信
推しキャラの双騎がこんなにすばらしくていいのか?嬉しい!幸せ!ハッピー!ありがとう!
物語構成の良さ
政宗の手紙
伊達政宗の人生を鶴丸と大倶利伽羅が見守るという構成。子供時代から壮年期の慶長遣欧使節まで順に話が進むので理解に労力が必要ない良さ。話の支柱が一本しっかりあるの、とてもいいね。
政宗の成長と、顕現して間もない大倶利伽羅が心を育んでいくのを素直に共鳴させているのもよかった。
政宗が筆まめだったというエピソードを冒頭で引用して、時代が進んで場面が映るたびに、政宗の手紙が挟まれる。手紙には政宗の気持ちとか心が反映されているから、それがちょっとずつ大倶利伽羅にもしみていくように感じてよかった。
ストーリーテラーとしての虎哉宗乙
伊達政宗の師である禅宗の僧。私は学がなくて知らなかったけど、演出されたキャラがよすぎて今はもう大好き。
政宗の物語を見守る鶴丸と大倶利伽羅(あとそれを見ている我々)に今何がおきているのか解説しながら、進行してくれるので、理解がはかどるはかどる。
飄々とした語り口、耳に心地よい響きの声、軽妙な冗談、全部兼ね備えた語り部で最強でした。
歌8割、セリフ2割
刀剣男士も歴史人物も歌う。特に伊達政宗が歌う。葵咲本紀の作戦を説明する鶴丸の歌のように、セリフからシームレスに歌に移行するタイプの歌が多かった。つまり芝居でやるとこを歌にしているあれです。わたしはあのミュージカルらしい歌で物語が進行してくのがだーいすきなので本当にたのしかった。
鶴丸の「真白の鳥」の大倶利伽羅版もあり、独白とか内心の吐露の楽曲ももちろんばっちりあってよかった。
伊達政宗の歌が舞台上のだれよりも抜群にうまくて、そりゃキャリアを考えれば当然なのかもだけど天上から響いてくるようだった。声も技術も円熟してて福福しい。対比により、鶴丸や大倶利伽羅のうまさが若々しく可愛らしいものに聞こえたのも味わい深かった。
楽曲の良さ
穴を掘る鶴丸への考察が止まらぬ
冒頭二曲でミュの鶴丸の過去へ思いがはせてしまう。どうした、鶴丸なにがあった?
一曲目は、鶴丸が穴を掘る歌。
「あるはずの ちがなくて びっくり おどろいた」「ないはずの あな まっさかさまおとしあな ああおどろいた」「ほりすぎた あな きがつきゃおれが あなのなか」「あなのなか ああまっくらだ ああ おど」
歌詞を書き起こすレベルで心がざわついてしまう。喪失とか空虚を感じる歌声が最高。
鶴丸ファンは、鶴丸が穴を掘ると動揺して理由を考えがちだと思うんですけど、それは、鶴丸が驚きの一環として落とし穴を掘るのかという議論があることと、鶴丸が墓穴から掘り出されたことがあるのが大きな要因です。
ゲームで鶴丸がしかけてくる驚きは、「わっ!」って急に声をかけてくることだから、驚きのバリエーションはこちらの想像に委ねられてるんですよね。
鶴丸が好きって話をするときに「あなたの本丸の鶴丸は穴を掘るタイプ?」って話題になることは時々ある。わたしの本丸の鶴丸は掘らないタイプ。
鶴丸が穴を掘るか、またその理由はなんなのかというのは、鶴丸国永を解釈するときに頻発する要素のひとつといえましょう。
なので、ミュの鶴丸が穴をほったとなるとこれはするしかない!解釈という妄想を!なぜなら楽しいからです!
わたし的には、穴ほってる鶴丸がぜんぜん楽しそうじゃないので、楽しい驚きのための仕込みではないと考えました。そうなると驚きじゃなくて墓穴の方に考えをシフトすると、あれは死のイメージかなーと思います。となると、あの本丸では折れた刀剣男士がいるので(出典:江水散花雪)、仲間の死に面した鶴丸が、死に触れてみるためにとくに誰のものでもない墓穴を掘っているのでは?と考えました。鶴丸の墓穴かもしれないですけど、なんだろ、一回、死に近くなってみてるのかなあーという印象をうけました。
物語の最後で、自分が掘った穴に落ちた鶴丸を、大倶利伽羅が引き上げたのがめちゃくちゃに象徴的で、たぶん鶴丸はあのとき気持ちとしてすでに墓穴に落ちちゃってたんですけど、一人では上がれなかった墓穴的思考から、大倶利伽羅が助けてくれたのだなーと思いました。
つまり、春風桃李巵で救われたのは、鶴丸、ということです。大倶利伽羅はパライソに引き続き鶴丸を助けてくれてありがたさしかない。葵咲本紀のときに、鶴丸はひとりでなんでもできるから一人ぼっちに見えると心配していたんですけど、大倶利伽羅がそばにいてくれると安心しますね。
屈辱を叩き込む鶴丸
ミュの鶴丸、手段として暴力を用いること多すぎでは?パライソでもわりと容赦なく殴っていた、歴史人物を。
暴力的すぎでは?という気持ちと、でも、舞台の上で美しく演出される暴力って背徳的でセクシーなんだよなぁあ!という葛藤のはざまにいる。
大倶利伽羅の芝居が格別で、打撃の重さやダメージの大きさがこちらにリアルに伝わってくる。痛そう、って顔をしかめてしまう。鶴丸の強さや怖さが対比でつたわってくるので本当におふたりとも芝居が上手でありがとうって思いました。
鶴丸の過去が気になる二曲目がこの、屈辱を大倶利伽羅に与える歌ですね。葵咲本紀の許すまじの歌くらい禍々しいよ。でも、鶴丸が怖くて最高に大好きです。苦々しい声の響きが、にこにこしている表情と相まって狂気しか感じない。鶴丸どうしたんだい。私はミュ鶴のことなにも知らないというか作品をみるたびに謎が深まるばかりなんだけど、なんかここの鶴丸はしんどそうですね。
一曲目で感じた空虚とあわせて考えると、歌われている屈辱とか敗北感を感じているのは鶴丸のほうで、大倶利伽羅にそれを圧縮して叩き込んだのかなと思いました。戦場で初めて感じるより、本丸で感じたほうがまだ安全なので。しかし、大倶利伽羅が強く、素直な努力家だったので反骨精神をバネにしてくれましたけど、スパルタがすぎる。ZIPファイルみたいにわたしちゃだめだよー。
殺陣のよさ
大倶利伽羅の殺陣は重心が下。一撃一撃が重くて腰に巻いた布がひらめくさまも雄々しい。鶴丸の殺陣は重心が上、連撃が軽やかで羽織の袖が羽みたいにひらひらするのが最高に綺麗。
やっぱり刀剣乱舞を見に行っている以上、殺陣はたくさん見たい!って思うので、歌もダンスも芝居もよかったけど、さらに殺陣までしっかり魅せてくれたのほんとうに嬉しくて大満足です。
演出のよさ
鶴丸と大倶利伽羅の小芝居がよい
伊達政宗の家臣たちのやりとりを、本人たちでやるのではなくて、鶴丸と大倶利伽羅がなりきって演じるという構成が最高だった。
不立文字(ふりゅうもんじ)悟りの道は、文字・言語によっては伝えられるものではないという意、という考え方を提示して、じゃあ、実際にやりとりをやってみることでその人達がどういう気持だったか感じてみよう!という流れで、二人の鶴丸と大倶利伽羅ではない芝居が見られるの最高に良かった。
ストーリーはわかりやすいし、キャラのチャーミングな面もみられる天才の発想だと思った。最高でした。
ぱっと始まって、すぐに刀剣男士にもどるので、塩梅もちょうどよかった。
最初に演じたのが、子供を殺すことを決意した小十郎(大倶利伽羅)と、その妻(鶴丸)というのも、ぜんぜん別人を演じます!というのがわかりやすくてよかった。鶴丸が、哀れに泣き崩れながら「この子が不憫でございますうぅぅ」と演りはじめたのであまりにも一目瞭然だった。付き合ったほうが早く終わると判断して小十郎をちゃんとやった大倶利伽羅はとても偉いですね。
鶴丸が倒れるシーン
強敵が登場して、鶴丸が倒れ伏し動かなくなる場面で、鶴丸の刀がライトを反射してきらきらきらーって光っていたの最高に神秘的で良かった。鶴丸がやられたのを見つめる大倶利伽羅のスローモーションのような動きも相まって、時が止まったかのような静寂を感じた。
結局、鶴丸は無事で、戦闘後に起き上がったわけですが、個人的には、あれは折れていた(死んでいた)と考えています。お守りでもどってきたんじゃないかなー。ガラスが砕けるような音が入っていたので破壊はあったんじゃないかなー。
大倶利伽羅がめちゃくちゃ心配していたので、「冗談が過ぎた」と言葉にすることで悪い冗談ということにしたのではないかと思います。
物語自体の良さ
慶長遣欧使節が、希望をのせて船出してスペインに到着したあとも使節団や支倉常長が楽しげにしている様子が描かれるなど、全体的にストーリの演出がさわやかだった。慶長遣欧使節は目的を達することができなかったと大倶利伽羅に史実の解釈を語らせながら、本人たちは楽しかったかもしれない、と鶴丸に気持ちを解釈させるところとか好きだった。
成功だけじゃなくて失敗したとしても再び歩き出したしぶとさが人間の良いとこ。
それを見つめる鶴丸や大倶利伽羅の眼差しも暖かく感じた。
さわやかに好意的に描かれた伊達政宗の一生を傍らで見つめることで、大倶利伽羅が心を理解して、鶴丸が救われるお話だった。
大倶利伽羅は最初、戦わなかった伊達政宗を歯がゆく感じていたけれど、物語の最後には、心というものについてわかろうとする前向きさを習得した。若木が芽吹くみたいな成長の仕方大好き。
鶴丸も最初陰鬱だったけど、人間のしぶとさを楽しく感じ、手助けしてくれる大倶利伽羅が傍らにいてくれたおかげでなんか元気になっていてよかった。
わかりやすくこじんまりと後味スッキリまとまった物語で、私は、だいだいだい満足でした!
楽しかった!再開されますように!!!千秋楽が見られますように!!!願っています!もっともっと素敵なシーンたくさんあったので、配信とかでたくさんの人がみたらいいなって思いました!
伊達政宗の歌、ほんとすごいから全人類見て!
おしまい!